春日 太一。 町山智浩を「老害サブカル」と批判したロマン優光をめぐって水道橋博士、春日太一、吉田豪が入り乱れ論戦!|LITERA/リテラ

春日太一が語る、『時代劇入門』の執筆と映画の楽しみ方 「知らない人に向けてゼロから書いています」|Real Sound|リアルサウンド ブック

春日 太一

この期間、七月刊行の新刊に向けて、戦後に日本で作られた戦争映画の検証をしてきた。 刊行近くにも改めて紹介していきたいと思うが、「こんな凄い作品だったのか!」という発見も結構あった。 今回はそのうち、特に衝撃を受けた作品を取り上げる。 それが『あゝ声なき友』。 渥美清が自ら企画した作品で、もちろん主演もしている。 『男はつらいよ』の寅さん役で国民的スターになった後の企画、しかも松竹映画なだけに、それなりに人情味のある喜劇色の強い作品だと思い込んで、油断していた。 が、全くそうではなかった。 徹底してシリアスな、そしてとてつもなく苦く、重く、救いのない内容なのである。 第二次大戦末期、主人公の民次(渥美)は病気のため除隊することになる。 生還が絶望的な最前線に送られる戦友たちは、家族への遺書を民次に託した。 そして部隊は全滅。 戦後、民次は貧しさの中を必死に生き抜きながら、戦友の遺族たちを探して遺書を渡すことに執念を燃やす。 本作が凄まじいのは、そんな民次の行為が決して美談として描かれていないことだ。 民次は遺書の配達に人生を捧げる。 だが、そうまでして遺書を届けても、待ち受けるのは、遺族たちの壮絶な末路。 ある戦友の妻は空襲の間に犯され、精神は病んでいた。 ある戦友の弟は、疎開先でいじめに遭い、親戚家族を皆殺しにして死刑になっていた。 遺書の存在が、懸命に生きてきた遺族を不幸に落とすことも。 それでも、民次は遺族を必死に探そうとする。 かつての商売仲間(財津一郎)から、諦めて一緒に店をやるようにことあるごとに誘われる。 が、民次は頑なに断った。 「どうしても届けなきゃならない。 みんな、俺が届けているものと思っているに違いない。 それは、彼が亡き戦友たちから託されたから、だ。 そのために、復興後の繁栄にも一人、背を向け続ける。 その姿は、一人だけ生き残ったことを「罪」と思い込み、贖罪をしているように映った。 実際には彼に「罪」は何もない。 生き残ったことは、本来なら喜ばしいこと。 ただ、そう思えない人間もいる。 民次の「戦争」はまだ終わっていないのだ。 そんな重い十字架を背負った男の悲哀を渥美が見事に演じており、喜劇だけではない演技力に感嘆してしまった。 (春日 太一/週刊文春 2020年5月21日号).

次の

神田松之丞、町山智浩と春日太一の確執について言及「なんか喧嘩してるらしいけど」

春日 太一

2019年12月20日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『神田松之丞 問わず語りの松之丞』 毎週金 21:30-22:00 にて、講談師の神田松之丞が、映画評論家・町山智浩と時代劇研究家・春日太一の確執について言及していた。 神田松之丞:俺さぁ、ラジオで喋っちゃうじゃん 笑 ラジオでしゃべる派じゃん。 最近、映画評論家の町山智浩さんと、時代劇研究家の春日太一さんが、なんか喧嘩してるらしいけど。 余談ですけど、シゲフジが「町山智浩派」って言ってるけど。 俺はラジオで喋っちゃう派だから。 とにかく…関係ないよね、今の町山さんの話 笑 まぁ、とにかく俺はそっちの方なのよ。 そんなのさぁ、もし仮に同業者の芸人とかだったらよ、突き止めちゃうんだから、俺。 俺、本当に性格悪いから。 莫大な金をかけても突き止めるのよ 笑 探偵とか下手したら雇っても。 で、それも別にラジオのエピソードにするから。 でもさぁ、その人さ、もしもだよ。 もしも、仮にだよ。 落語家さんだとして、講談師の人だとしてだよ。 俺がその裏とって、ラジオとかで言っちゃったら、その人、芸人人生断たれちゃうよね。 え?どうしよう…大変だよねぇ、バカな奴だなぁ、どうすんだろうねぇ。

次の

楽天ブックス: 時代劇入門

春日 太一

この期間、七月刊行の新刊に向けて、戦後に日本で作られた戦争映画の検証をしてきた。 刊行近くにも改めて紹介していきたいと思うが、「こんな凄い作品だったのか!」という発見も結構あった。 今回はそのうち、特に衝撃を受けた作品を取り上げる。 それが『あゝ声なき友』。 渥美清が自ら企画した作品で、もちろん主演もしている。 『男はつらいよ』の寅さん役で国民的スターになった後の企画、しかも松竹映画なだけに、それなりに人情味のある喜劇色の強い作品だと思い込んで、油断していた。 が、全くそうではなかった。 徹底してシリアスな、そしてとてつもなく苦く、重く、救いのない内容なのである。 第二次大戦末期、主人公の民次(渥美)は病気のため除隊することになる。 生還が絶望的な最前線に送られる戦友たちは、家族への遺書を民次に託した。 そして部隊は全滅。 戦後、民次は貧しさの中を必死に生き抜きながら、戦友の遺族たちを探して遺書を渡すことに執念を燃やす。 本作が凄まじいのは、そんな民次の行為が決して美談として描かれていないことだ。 民次は遺書の配達に人生を捧げる。 だが、そうまでして遺書を届けても、待ち受けるのは、遺族たちの壮絶な末路。 ある戦友の妻は空襲の間に犯され、精神は病んでいた。 ある戦友の弟は、疎開先でいじめに遭い、親戚家族を皆殺しにして死刑になっていた。 遺書の存在が、懸命に生きてきた遺族を不幸に落とすことも。 それでも、民次は遺族を必死に探そうとする。 かつての商売仲間(財津一郎)から、諦めて一緒に店をやるようにことあるごとに誘われる。 が、民次は頑なに断った。 「どうしても届けなきゃならない。 みんな、俺が届けているものと思っているに違いない。 それは、彼が亡き戦友たちから託されたから、だ。 そのために、復興後の繁栄にも一人、背を向け続ける。 その姿は、一人だけ生き残ったことを「罪」と思い込み、贖罪をしているように映った。 実際には彼に「罪」は何もない。 生き残ったことは、本来なら喜ばしいこと。 ただ、そう思えない人間もいる。 民次の「戦争」はまだ終わっていないのだ。 そんな重い十字架を背負った男の悲哀を渥美が見事に演じており、喜劇だけではない演技力に感嘆してしまった。 (春日 太一/週刊文春 2020年5月21日号).

次の