ローゼマイン フェルディナンド 結婚。 【本好きの下剋上】フェルディナンドは結婚する?年齢やローゼマインとの関係について

#本好きの下剋上 #フェルディナンド 婚約式(フェル視点)

ローゼマイン フェルディナンド 結婚

本好きの下剋上が好きすぎて、思い余って自分でも二次創作を書いてしまいました。 文章を書くのは初めてなのでお見苦しい点があるかもしれませんがご容赦ください。 原作の続きを読みたいつもりで、本編676話の後から、ローゼマインとフェルディナンドの距離が近づいたりくっついたりするお話です。 ローゼマインがブルーアンファの訪れに気づかないままバイマハシュートのご加護を得るかもしれません。 設定・人物像は原作に準じます。 原作に出てこないキャラ設定の捏造、オリキャラの誕生は必要最低限ですが今後あります。 素人が書いた二次創作であり、この作品の内容は原作者様・原作・出版社には一切関わりがないことをご了承ください。 念のためR-15タグをつけます。 破廉恥を期待なさる方はガッカリするかもしれません。 軽~くフロレンツィアをディスっていますが嫌いなわけじゃないです。 フェルマイ派、むしろフェルマイしかいらない派、エーレンフェストの領主一族には基本好意的なつもりです。 [chapter:ローゼマインに男女の機微を理解させ隊] 「はあ、淑女教育、ですか……。 」 初めての領主会議も終盤、エーレンフェストのお茶会室でお昼過ぎから膨大なエーレンフェスト関連の議題についての話し合いをなんとか終わらせ、アウブ夫妻とお父様、お母様と夕食を共にした後。 ここからは私的な時間だと、義父様とお父様は渋るフェルディナンド様を引きずってリバーシをしながら酒宴をしている。 そしてこちらは義母様、お母様と女同士でお茶を飲みながら歓談……のはずであった。 何故か範囲指定の盗聴防止の魔術具が起動され首をかしげていると、義母様から話を切り出された。 わたしの見た目はずっと洗礼式直後のようだったし、基本的な生活の場が神殿だったので城には用事がある時しか行かなかった。 本来なら貴族院に入る前に施すはずの、男女の体の違いや他人に魔力を流すとはどういうことか、みたいな初歩の性教育はユレーヴェに浸かって二年間を失ったせいで、貴族院の予習詰め込みに時間を取られできなかった。 その後もなんだかんだ、次から次に起こる問題に忙殺されるうちに機会を逸したらしい。 本格的な閨の作法なんかは、今年の貴族院から戻り次第、領主会議で王の養女になるまでの間に詰め込むつもりだったそうだ。 しかしそれも、わたしは一週目に行方不明になったまま卒業式が終わっても戻らず、やっと戻ったと思ったら対アーレンスバッハの防衛対策でそれどころではなくなり、わたしはそのままアーレンスバッハの礎を染めてアウブになってしまった。 しかも、まさか閨の作法どころか、母子間や女友達との間で自然に習得していくはずの常識すら覚束無いとは思わなかった、とは義母様の弁である。 ……と、いうか、なんだかなあ。 「あなたには母が二人もいて既婚の側仕えもついていたのに……なかなか時間が取れないうちに機会を失ってしまって、結果的にあなたを無垢なまま放置してしまうことになってしまい、本当に申し訳ないと思っています。 これはわたくしの責任ですわ。 」 義母様がひどく申し訳なさそうに言ってため息をついた。 わたしとしては、はぁそうですか。 くらいの感想しかない。 確かに、洗礼と同時に養女になったのだから、わたしへのそういう教育は当然義母様が考えなければならなかったのだろう。 自分に余裕が無いのならせめてリヒャルダかオティーリエに指示をするべきだった、と。 まあ、そうかもね。 「言葉にして教えていないことができなかったのは、自分の教育が不足だったと思え」と義父様とフェルディナンドを諭してくれた義母様が、自分が教えていなかったら知るはずもない「秋を待たずに冬を到来させる」意味を知らなかったことに驚愕されて、こちらが驚愕した。 自分が教育を施していなかったら、義母を差し置いて誰もそんな教育をするはずないではないか。 あの義母様が本気でそこに思い至らなかったのが不思議だ。 ……わざとほったらかしているのではないか、と邪推したこともありました。 とは言えない。 だって、一歳下のシャルロッテにはきちんと教育されているではないですか。 まさかその時にわたくしのことを思い出しもしなかったとおっしゃるのですか?なんて、どうオブラートに包んでも嫌味にしかならないので、曖昧に頷くだけにしておこう。 うん、わたしの社交術も少しは成長したんじゃないだろうか。 褒めてくだすってもよろしくてよ? たぶん、わたしのことを「自分が教育に責任を持つべき自分の娘」とは認識しきれていなかったんだろうな。 平民時代にわたしのことを知っていて、何かあった時の保険として養子縁組の魔術具を預けていた義父とは違い、たぶん義母様はいきなり義父様から養女を迎えると言われて寝耳に水だっただろう。 おまけに姑に取り上げられた長男と同い年で、自分が教育している長女の一つ年上。 とても心からわたしを歓迎してくれたとは思えない。 それでもヴェローニカのように継子を厭うでもなく、領主候補生として公正に扱ってくれただけで、わたしにとっては十分だ。 実子ほどではないにしても、わたしに確かに愛情を向けて守ろうとしてくれていた義父様と比べてしまってはいけないのだ。 ……義父様の愛情はペットのシュミルレベルだった可能性は捨てきれないけれど。 わたしが領地に齎した利は大きいけれど、起こした問題も大きい。 それに振り回された領主一族は気の毒だったとは思う。 反省はしない。 まぁ私が城に居る時間があまりにも少なくて、母と子として接する機会がほとんどなかったのはわたしにも責任があるので、この件に関しては義母様だけを責めることはできない。 城は息苦しかったから、理由をつけては城に滞在する日数を最短にしていた。 城に居た時は、忙しくしているか、寝込んでいるか、領主会議の留守番か、くらいである。 母子としての交流どころではなかったと思う。 わたしの教育はすべてフェルディナントが施していて義母様の手に預けられたことはないし、彼女の私に対する認識は、「自分の子供を助けてくれた女の子」程度ではないだろうか。 ……だって、こっちに興味がない人と交流する暇があるなら、本を読んだり本を作ったり本を読んだりしたいし。 そもそもわたしは家族と自分の命を助けてもらうのと引き換えに、魔力と知識が領地の利になるからという理由で養女になったのだ。 子供として可愛がられるためではない。 だからわたしは義務を果たすために優秀であり続け、流行を生み続けた。 義務以上のことにこちらから歩み寄る必要は無いと割り切っていたので、 養父様には受けた愛情と庇護への恩を、姉として慕ってくれたシャルロッテやメルヒオールには弟妹に対する愛情を、めいっぱい返してきけれど。 厄介な妹扱いだったヴィルフリートには頼りないお兄様扱い、特に愛情を向けられなかった養母様には義務としての付き合いしかする気が起きなかったのは、お互い様ってやつだ。 領主夫人として尊敬はしているけど、それだけだ。 ほとんど一緒にいられなくても、母としての愛情をくれたエルヴィーラの器の大きさと愛情深さがすごいだけなのだ。 たぶん。 「エルヴィーラの恋物語を喜んで読んでいましたし、そちら方面の情緒もそれなりに育っていると、勝手に思ってしまっていたのです。 あなたが冬の到来の意味を理解していなかったことを知った時、わたくしは自分が果たしていなかった責任に初めて気づいたのですわ……。 遅すぎるかもしれませんが、これからあなたに婚約者がいる女性アウブとして知っておくべきことを教育することで、今までの償いをさせていたけないかしら?」 ほんとに遅すぎましてよー!義母様ー!!! おかげで知らずにエグランティーヌ様にどれだけ破廉恥発言をしてしまったか! 根に持つよ! また知らずにあんな恥ずかしい思いをするのは嫌だから、教育してもらう必要性は感じている。 閨の作法だって魔力的にも貴族的にも、たぶん絶対に21世紀の日本とはかけ離れてる気がする。 星結びを終えたらフェルディナンドとそういう……うわぁ……あれ……するんだろうし……うわぁ……。 とにかく、その時になってものすごい失敗をしてしまったら困る。 実地の経験はないけど、知識だけならフェルディナンドが卒倒するくらい破廉恥なものを持っている自信がある! でもなあ。 「お申し出はとてもありがたいですし、わたくしもそちらの教育の必要性については強く同意いたしますが……その、今はそれどころではないというか……。 」 アレキサンドリアを整えるのに急務が山積みで、正直そんな余裕はない。 「アウブとなったばかりですから内政を優先させたいのはわかります。 ですが、もうすでに遅すぎるくらいなのですよ……問題が起こってからでは遅いのです。 」 「あなたがアウブなのですから、他領の領主夫妻との社交を誰かに任せるわけにはいかないのです。 この領主会議の間に人前でまたとんでもない発言をしていたらどうしようかと、ずっと気が気じゃありませんでしたのよ。 」 お母様も本気で心配だったのだろう。 目が真剣だ。 義母様が頷いて続ける。 「次の貴族院が始まれば、今まで良好な仲であると主張してきたヴィルフリートとの婚約解消と、神殿でずっと一緒に過ごしてきたフェルディナンド様との婚約について多くの方から声をかけられるでしょう。 ツェントにグルトリスハイトを授けた女神の化身との縁を結ぶために、フェルディナンド様との婚約に横槍を入れようとする者も出てくるかもしれません。 あなたがよく理解せずに不用意な返答や同意をしたせいで取り返しがつかない事態に陥ったらどうします?神殿蔑視がいまだ根強い中、フェルディナンド様と幼い頃から神殿で不埒な行為に耽っていたとでも誤解されたら、あなたの名誉もフェルディナンド様の名誉も回復不可能に陥ってしまいます。 この夏と秋の間に最低限の教育は必要ではなくて?」 ……なにそれ、こわい! わたしのポカのせいでフェルディナンド様に幼女趣味疑惑がかけられたら、怒り狂った魔王様に殺されてしまうんじゃないだろうか。 神様が舞い踊る恋愛表現がまったく理解できないのだ。 そんなことにはなりませんわ、とはとてもじゃないけど言い切れず、そっと目を逸らした。 「特に、あなたとフェルディナンド様の魔力がすでにほとんど同じであることについて、そのまま口にすればすでに冬を迎えていると宣言するようなものですから……かといってあなたの体質や女神の御力について事細かに説明するのではなく、決して誤解を与えず、言質も取らせずに躱さなくてはなりません。 」 「そ、そんな……わたくしにそんな高度な社交ができるとは……」 「できるようにならなければならないのです。 あなたはアウブなのですから。 」 社交音痴と言われ続けて自信がなく腰が引けている私を、ズバッと一刀両断して、義母様はおっとりと微笑んだ。 「うぐぅ……仰る通りです……」 なんとか笑顔を作って了承すると、お母様が最後にして最大の爆弾を落とした。 「それにわたくし、ローゼマインはなるべく早く男女の機微を理解しなければいけないと思いますわ。 フェルディナンド様はエーヴィリーベもかくやといった態度であなたに接し、頻繁に二人で隠し部屋に籠るそうではないですか。 あなたが無垢で何も理解していないのをいいことにフェルディナンド様が行き過ぎることがないとは言い切れませんから……」 「うえぇっ!?な、なにを……フェルディナンド様はそのようなことはしません!!」 「コルネリウスが泣きついてきたのです。 妹の貞操と名誉の危機だ、フェルディナンド様を止めてくれ、と。 あなたに話を聞いて、もし本当にそのような危険があるのならアウブ・エーレンフェストかリヒャルダへ進言して止めていただく必要があるのではないかと思ったのですが。 気まずそうに目を逸らされた。 ふんぬぅ!許しませんからね! お母様は仕方がないわね、というように眉を下げて微笑んだ。 「妹を心配しているのです、コルネリウスの気持ちも理解してあげてちょうだい。 ……もちろん、わたくしもあなたのことが心配ですよ。 」 「お母様、フェルディナンド様はそうする必要がある時に、必要があることしかなさいません。 隠し部屋に二人で入るのも、たとえ名捧げをした側近にすら見せるわけにはいかない調合をする必要があるのです。 それに、皆様誤解されているようですが、わたくし別に無垢でも無知でもありません。 何も知らずに進みすぎることなどありませんから、その心配は杞憂ですわ。 」 「「え!?」」 「え?」 義母様とお母様が声を揃えて目を瞬かせた。 そんなに驚くことだろうか。 二人の反応にわたしも首を傾げる。 「まあ……お二人ともわたくしのことを本当に幼子のように何も知らないとお考えでしたの? わたくしもうすぐ14歳になりますのよ?」 にっこりと微笑むと、二人は微妙な表情で顔を見合わせた。 「どう知識が偏っているのか……予測不能ですわね……」 「男女の機微は期待されていないというのは……知識があるのにあの言動……これは早急に教育しなくてはフェルディナンド様がお気の毒ですわ……」 え?どういう意味?なんで二人だけで分かり合っちゃってるの? こういうところだってば~!わたしだけ分からないんだから、今!ナウ!教育してよ! こうして「ローゼマインに男女の機微を理解させ隊」の活動が開始されたのであった。 [newpage] 湯あみを終えて就寝前の時間、隠し部屋に入りさきほどフロレンツィアから受け取った二冊の手書きの冊子をパラパラと流し読みして概要を把握する。 二日後にお母様と二人だけでお話をする時間がとってあり、それまでにざっと目を通して、疑問点や補足を話し合うことになっている。 じっくり読み込んでさらに突っ込んだ話をするのは、わたしたちや側近達の本格的な移動のためにエーレンフェストに戻った時だ。 義母様は、「ローゼマインの教育についてジルヴェスター様にもご相談したら、なにやらあなたは特殊な体質をしているから、エルヴィーラを教育係にして二人だけで話せるようにしてやれと言われましたの。 この本はわたくしとエルヴィーラで相談して二人で書いたものですわ。 これを元に、エルヴィーラから解説してちょうだい。 」と言っていた。 ああ、わたしが元身食いの平民だったことを知らない人では、私の魔力がすでにフェルディナンドとほぼ同一であることを本当の意味で理解できない。 魔力の色だの、染める染めないが閨表現に直結するのに、そこが話せない人では私の教師はできないのか。 後で余裕ができたらアレキサンドリアの年嵩の側仕えか誰かに教えてもらえばいいじゃん、と軽く考えてたけど、エーレンフェスト側で領主会議の期間にお膳立てしてくれて本当に助かったかも。 「フェルディナンド様に絶対に見つからないように、必ず隠し部屋でお読みなさい。 」 渡された二冊の冊子のうち、やたらと分厚い方は章ごとに筆跡が違うので、どうやら城の文官達も動員したようだ。 これは助かる。 すごく助かる。 こういう常識を知らないせいでよくわからないうちに大事になっちゃってたこととか、あると思うんだよね。 分厚いからちゃんと読むのは明日にして、もう一冊の薄い冊子を手に取る。 「こっちは・・・これはお母様の字かな。 つまり恋愛限定の神様表現辞書か。 おお、これをマスターしたらお茶会で本好きの女の子たちと恋物語の感想を語り合うっていう夢が叶っちゃうんじゃない!? うふふん……」 エーレンフェストもアーレンスバッハの侵攻の事後処理で大変な中、領主会議までの短い期間で忙しい二人が私のためにこんな本を作ってくれたのだ。 二人の気持ちが嬉しくて有難い。 ふんふん。 恋物語の抜粋らしい神様表現について直接的な言葉遣いでの訳と解説もついてる。 「ブルーアンファが舞い踊るのは、芽吹きの象徴、恋心の始まり、か。 あ~なるほど、自覚していない恋心の芽吹きもこれに含まれるわけか。 ふむふむ。 」 これを息をするように理解できるようになれば男女の機微については最低限クリアらしい。 わたしの内面の情操については、これを踏まえた上でフェルディナンドと適切な距離を保ちつつ、星結びまでの二年間に自然に成長することを期待、と。 フェルディナンド様に丸投げって言わないかな、それ? とりあえずこれを全部まる暗記すれば社交で致命的な失敗はしないだろう。 ありがた…… 「ぶっふぉお!?」 終盤は恋物語よりもっと深い表現のものになっていき、冬の到来の次のページをめくって、目に飛び込んできた単語に我が目を疑った。 「あ、ああっ!?そういうこと!?男女の例えはエーヴィリーベとゲドゥルリーヒが基本で、それを踏まえた上で……」 エーヴィリーベの剣はつまり、男性器の比喩表現……で、ゲドゥルリーヒの杯は女性器、、、 「う、うわああああああ!」 神具が恥ずかしくてまともに見られなくなっちゃったらどうすんの!? 邪な連想に邪魔されてシュタープで神具が作れなくなったら困ると思う! これ書いたのどっち?フロレンツィア様?それともお母様? うわうわうわ、明後日顔を合わせるの気まずすぎなんだけど! 既婚女性強すぎだよ! 「こんなんいつ使うわけ……わたくしのいやらしく蜜で溢れたゲドゥルリーヒの杯を、フェルディナンド様のその猛々しいエーヴィリーベの剣で貫いてくださいませ、とか言うの? 21世紀日本の官能小説も真っ青……ひっ………… アカン想像したらギャグでしかな……ふっ…… ぶふっ…………くくっ……くるし………………っひひ……………………」 「…………あー笑った」 軽く呼吸困難になりかけた息をはあはあと整えながら落ち着こうとするけど、まだ油断したら笑いの発作が起きてしまいそう。 箸が転がっても可笑しがる思春期特有の、あとで思い出しても何がおもしろかったのか説明できないやつだ。 そういえば、いままで精神は22歳の麗乃だと思ってきたけど、ただ成人した記憶があるだけで、精神年齢はマインとして年相応に戻っていた可能性もあるよね。 家族と離れてすごく不安定になったり、泣いたり笑ったり喜んだり……ユルゲンシュミットで育ってきたわたしは、大人になった麗乃よりも喜怒哀楽が激しくて子供っぽかったかもしれない。 ということは、ナイフみたいに尖ったり、正体不明の不安感に襲われたりという、あまりまた経験したいとは思えない思春期をもう一度経験することになるのだろうか。 それはすごく疲れそうだな。 しばらく床をのたうち回って笑ったおかげで、普段使わない腹筋が爆発しそうに痛い。 明日は筋肉痛で起き上がれない気がする。 普段取り澄ましてる貴族の紳士淑女も、閨ではこんな官能小説ばりのやりとりをしているのかな? ……ないないない。 こんなん旦那様に向けて言うくらいなら、恥ずかしさで舌嚙み切って死ねる。 いやでも待てよ。 魔王だからなあ。 「どうして欲しいのだ?はっきり申してみよ。 」とか言って虐めてきそう。 「うわぁ……」 楽しそうにドS顔で恥ずかしいセリフを強要するフェルディナンドを想像してしまってげんなりする。 とりあえずそんな心配をするのはまだ早すぎるから、二年後にもう一度心配しよう。 ……っていうか、フェルディナンド様ってそもそも性欲とかあるのかな? 人間不信の上に女性不信をこじらせまくって、神殿でも執務室の空気が浮つくからと言って絶対に灰色巫女を側仕えにしなかった人である。 女性に囲まれているだけで勝手にストレスを溜めて勝手にダメージを受けていたし。 わたしがフェルディナンドの懐に入れたのは女を感じさせないほど幼かったからというのもあるだろう。 「あれっ、てことは、もしかしてフェルディナンド様って童て……」 ……これ以上考えてはいけない、と脳が危険信号を発した気がして瞬時に思考の軌道を変える。 ええっと、これらの閨関連の表現は、外で不用意にこれらの発言をしないこと、そして、フェルディナンドを無自覚に誘ったり煽ったりすることがないように、との親心らしい。 「あなたの色に染めてください」の意味をヒルシュールやフェルディナンドに尋ねまわったことがバレたらお説教どころじゃ済まない気がする。 「ていうか、フェルディナンド様に性欲がなかったら、二年後に星結びをしてもセックスレス夫婦になる可能性もある?」 漠然と、結婚したら当然するものだと思っていたけど、その前提が覆るなら、そもそも閨の作法なんか教わる必要がないのでは。 わたしに男女の機微は求めないとか言ってたし……もしかしてそういうことするつもりない?清い交際のまま清らかに家族としてだけ生きて共白髪とか願ってたりする? いやいやでも、現状アレキサンドリアの領主一族は私とレティーツィアの2人だけ、二年後に星結びをしてフェルディナンドを入れても3人だけだ。 レティーツィアが他領にお嫁に行く可能性もないわけではない。 2年後にはある程度内政も落ち着くだろうし、領主一族の増員は最優先事項ではないだろうか。 領主の義務として最低でも2~3人は生まないと将来のアレキサンドリアの礎が魔力不足でやばい気がする。 養子を取りまくるにしても政治的な面倒がついて回るだろうしなあ。 うーん。 この問題はフェルディナンドと話し合ってお互いの希望とアレキサンドリアの将来も踏まえて結論を出さなくては。 お互いの希望ということはわたしの希望も伝えなければならないということだ。 今までちゃんと考えてこなかった問題に直面して思考がどうも上滑りする。 わたしはフェルディナンドとそういうことをしたいのだろうか? 領主だし政略結婚だから当然するのが義務だと思い込んでいた。 じゃあ、義務じゃなかったら? フェルディナンドがわたしとセックスなんてしたく無いと言ったら……? 就寝時間を過ぎてリーゼレータが隠し部屋の外から声をかけてきても、寝台に入っても考え続けたけれど、わたしがどうしたいのか、いくら考えても結論は出なかった。 [newpage] [chapter:あとがき-ごあいさつ] 恋心が理解できないので、自分の閨事についても領地経営の観点から冷静に考えてしまうローゼマインでした。 フェルマイタグつけたのにマインの妄想の中にしか出てこなかったですね。 フロレンツィアに関しては、基本的に領主一族みんな好きなんですが、彼女だけずっと他人だったのが気になっていたのですよね。 ローゼマインが社交下手なのも男女の機微がわからないのも、フロレンツィアの責任のはずなのになあ…と考えてこういうことになりました。 淑女教育を本で行う、という設定は以前拝見したほかの方の二次創作に出てきていたかと思うのですが、他に例えば既婚の女性の側近をアレキサンドリアに派遣するとか、ソランジュ先生に教わるとか、いろいろな可能性を考えた結果、 身食いのことを知っている貴族女性がエルヴィーラしかいないこと、印刷業を担う重要なポジションにいるためアレキサンドリアに派遣されてくる展開は難しいこと、このためだけに無理矢理オリキャラを作りたくなかったことなどから、本を与えて自習させるしかないという結論に達しました。 そのほかにも、もしかしたら他の方が考えて発表されたネタと被る要素などがありましても、意図したものではございません。 そもそもが原作の設定と人物をお借りしている二次創作ですのでその辺はご容赦いただけますようお願いします。 今後は、フェルディナンドとの適切な距離について悩んだり、もう考えてもわからないから自分のことは棚に上げてフェルディナンドに直撃したり、自分の恋心については脇に置いたまま、する気があるなら星結び後いきなりアレはソレだから、前段階まで今のうちに慣れてきたいとか言い出して行為だけ先に進んでしまったらいいと思っています。 そしてフェルディナンドが理性を総動員して寸止めさせられて辛い、でも幸せ、みたいに苦しめばよいと思います。

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ローゼマイン フェルディナンド 結婚

本好きの下剋上が好きすぎて、思い余って自分でも二次創作を書いてしまいました。 文章を書くのは初めてなのでお見苦しい点があるかもしれませんがご容赦ください。 原作の続きを読みたいつもりで、本編676話の後から、ローゼマインとフェルディナンドの距離が近づいたりくっついたりするお話です。 ローゼマインがブルーアンファの訪れに気づかないままバイマハシュートのご加護を得るかもしれません。 設定・人物像は原作に準じます。 原作に出てこないキャラ設定の捏造、オリキャラの誕生は必要最低限ですが今後あります。 素人が書いた二次創作であり、この作品の内容は原作者様・原作・出版社には一切関わりがないことをご了承ください。 念のためR-15タグをつけます。 破廉恥を期待なさる方はガッカリするかもしれません。 軽~くフロレンツィアをディスっていますが嫌いなわけじゃないです。 フェルマイ派、むしろフェルマイしかいらない派、エーレンフェストの領主一族には基本好意的なつもりです。 [chapter:ローゼマインに男女の機微を理解させ隊] 「はあ、淑女教育、ですか……。 」 初めての領主会議も終盤、エーレンフェストのお茶会室でお昼過ぎから膨大なエーレンフェスト関連の議題についての話し合いをなんとか終わらせ、アウブ夫妻とお父様、お母様と夕食を共にした後。 ここからは私的な時間だと、義父様とお父様は渋るフェルディナンド様を引きずってリバーシをしながら酒宴をしている。 そしてこちらは義母様、お母様と女同士でお茶を飲みながら歓談……のはずであった。 何故か範囲指定の盗聴防止の魔術具が起動され首をかしげていると、義母様から話を切り出された。 わたしの見た目はずっと洗礼式直後のようだったし、基本的な生活の場が神殿だったので城には用事がある時しか行かなかった。 本来なら貴族院に入る前に施すはずの、男女の体の違いや他人に魔力を流すとはどういうことか、みたいな初歩の性教育はユレーヴェに浸かって二年間を失ったせいで、貴族院の予習詰め込みに時間を取られできなかった。 その後もなんだかんだ、次から次に起こる問題に忙殺されるうちに機会を逸したらしい。 本格的な閨の作法なんかは、今年の貴族院から戻り次第、領主会議で王の養女になるまでの間に詰め込むつもりだったそうだ。 しかしそれも、わたしは一週目に行方不明になったまま卒業式が終わっても戻らず、やっと戻ったと思ったら対アーレンスバッハの防衛対策でそれどころではなくなり、わたしはそのままアーレンスバッハの礎を染めてアウブになってしまった。 しかも、まさか閨の作法どころか、母子間や女友達との間で自然に習得していくはずの常識すら覚束無いとは思わなかった、とは義母様の弁である。 ……と、いうか、なんだかなあ。 「あなたには母が二人もいて既婚の側仕えもついていたのに……なかなか時間が取れないうちに機会を失ってしまって、結果的にあなたを無垢なまま放置してしまうことになってしまい、本当に申し訳ないと思っています。 これはわたくしの責任ですわ。 」 義母様がひどく申し訳なさそうに言ってため息をついた。 わたしとしては、はぁそうですか。 くらいの感想しかない。 確かに、洗礼と同時に養女になったのだから、わたしへのそういう教育は当然義母様が考えなければならなかったのだろう。 自分に余裕が無いのならせめてリヒャルダかオティーリエに指示をするべきだった、と。 まあ、そうかもね。 「言葉にして教えていないことができなかったのは、自分の教育が不足だったと思え」と義父様とフェルディナンドを諭してくれた義母様が、自分が教えていなかったら知るはずもない「秋を待たずに冬を到来させる」意味を知らなかったことに驚愕されて、こちらが驚愕した。 自分が教育を施していなかったら、義母を差し置いて誰もそんな教育をするはずないではないか。 あの義母様が本気でそこに思い至らなかったのが不思議だ。 ……わざとほったらかしているのではないか、と邪推したこともありました。 とは言えない。 だって、一歳下のシャルロッテにはきちんと教育されているではないですか。 まさかその時にわたくしのことを思い出しもしなかったとおっしゃるのですか?なんて、どうオブラートに包んでも嫌味にしかならないので、曖昧に頷くだけにしておこう。 うん、わたしの社交術も少しは成長したんじゃないだろうか。 褒めてくだすってもよろしくてよ? たぶん、わたしのことを「自分が教育に責任を持つべき自分の娘」とは認識しきれていなかったんだろうな。 平民時代にわたしのことを知っていて、何かあった時の保険として養子縁組の魔術具を預けていた義父とは違い、たぶん義母様はいきなり義父様から養女を迎えると言われて寝耳に水だっただろう。 おまけに姑に取り上げられた長男と同い年で、自分が教育している長女の一つ年上。 とても心からわたしを歓迎してくれたとは思えない。 それでもヴェローニカのように継子を厭うでもなく、領主候補生として公正に扱ってくれただけで、わたしにとっては十分だ。 実子ほどではないにしても、わたしに確かに愛情を向けて守ろうとしてくれていた義父様と比べてしまってはいけないのだ。 ……義父様の愛情はペットのシュミルレベルだった可能性は捨てきれないけれど。 わたしが領地に齎した利は大きいけれど、起こした問題も大きい。 それに振り回された領主一族は気の毒だったとは思う。 反省はしない。 まぁ私が城に居る時間があまりにも少なくて、母と子として接する機会がほとんどなかったのはわたしにも責任があるので、この件に関しては義母様だけを責めることはできない。 城は息苦しかったから、理由をつけては城に滞在する日数を最短にしていた。 城に居た時は、忙しくしているか、寝込んでいるか、領主会議の留守番か、くらいである。 母子としての交流どころではなかったと思う。 わたしの教育はすべてフェルディナントが施していて義母様の手に預けられたことはないし、彼女の私に対する認識は、「自分の子供を助けてくれた女の子」程度ではないだろうか。 ……だって、こっちに興味がない人と交流する暇があるなら、本を読んだり本を作ったり本を読んだりしたいし。 そもそもわたしは家族と自分の命を助けてもらうのと引き換えに、魔力と知識が領地の利になるからという理由で養女になったのだ。 子供として可愛がられるためではない。 だからわたしは義務を果たすために優秀であり続け、流行を生み続けた。 義務以上のことにこちらから歩み寄る必要は無いと割り切っていたので、 養父様には受けた愛情と庇護への恩を、姉として慕ってくれたシャルロッテやメルヒオールには弟妹に対する愛情を、めいっぱい返してきけれど。 厄介な妹扱いだったヴィルフリートには頼りないお兄様扱い、特に愛情を向けられなかった養母様には義務としての付き合いしかする気が起きなかったのは、お互い様ってやつだ。 領主夫人として尊敬はしているけど、それだけだ。 ほとんど一緒にいられなくても、母としての愛情をくれたエルヴィーラの器の大きさと愛情深さがすごいだけなのだ。 たぶん。 「エルヴィーラの恋物語を喜んで読んでいましたし、そちら方面の情緒もそれなりに育っていると、勝手に思ってしまっていたのです。 あなたが冬の到来の意味を理解していなかったことを知った時、わたくしは自分が果たしていなかった責任に初めて気づいたのですわ……。 遅すぎるかもしれませんが、これからあなたに婚約者がいる女性アウブとして知っておくべきことを教育することで、今までの償いをさせていたけないかしら?」 ほんとに遅すぎましてよー!義母様ー!!! おかげで知らずにエグランティーヌ様にどれだけ破廉恥発言をしてしまったか! 根に持つよ! また知らずにあんな恥ずかしい思いをするのは嫌だから、教育してもらう必要性は感じている。 閨の作法だって魔力的にも貴族的にも、たぶん絶対に21世紀の日本とはかけ離れてる気がする。 星結びを終えたらフェルディナンドとそういう……うわぁ……あれ……するんだろうし……うわぁ……。 とにかく、その時になってものすごい失敗をしてしまったら困る。 実地の経験はないけど、知識だけならフェルディナンドが卒倒するくらい破廉恥なものを持っている自信がある! でもなあ。 「お申し出はとてもありがたいですし、わたくしもそちらの教育の必要性については強く同意いたしますが……その、今はそれどころではないというか……。 」 アレキサンドリアを整えるのに急務が山積みで、正直そんな余裕はない。 「アウブとなったばかりですから内政を優先させたいのはわかります。 ですが、もうすでに遅すぎるくらいなのですよ……問題が起こってからでは遅いのです。 」 「あなたがアウブなのですから、他領の領主夫妻との社交を誰かに任せるわけにはいかないのです。 この領主会議の間に人前でまたとんでもない発言をしていたらどうしようかと、ずっと気が気じゃありませんでしたのよ。 」 お母様も本気で心配だったのだろう。 目が真剣だ。 義母様が頷いて続ける。 「次の貴族院が始まれば、今まで良好な仲であると主張してきたヴィルフリートとの婚約解消と、神殿でずっと一緒に過ごしてきたフェルディナンド様との婚約について多くの方から声をかけられるでしょう。 ツェントにグルトリスハイトを授けた女神の化身との縁を結ぶために、フェルディナンド様との婚約に横槍を入れようとする者も出てくるかもしれません。 あなたがよく理解せずに不用意な返答や同意をしたせいで取り返しがつかない事態に陥ったらどうします?神殿蔑視がいまだ根強い中、フェルディナンド様と幼い頃から神殿で不埒な行為に耽っていたとでも誤解されたら、あなたの名誉もフェルディナンド様の名誉も回復不可能に陥ってしまいます。 この夏と秋の間に最低限の教育は必要ではなくて?」 ……なにそれ、こわい! わたしのポカのせいでフェルディナンド様に幼女趣味疑惑がかけられたら、怒り狂った魔王様に殺されてしまうんじゃないだろうか。 神様が舞い踊る恋愛表現がまったく理解できないのだ。 そんなことにはなりませんわ、とはとてもじゃないけど言い切れず、そっと目を逸らした。 「特に、あなたとフェルディナンド様の魔力がすでにほとんど同じであることについて、そのまま口にすればすでに冬を迎えていると宣言するようなものですから……かといってあなたの体質や女神の御力について事細かに説明するのではなく、決して誤解を与えず、言質も取らせずに躱さなくてはなりません。 」 「そ、そんな……わたくしにそんな高度な社交ができるとは……」 「できるようにならなければならないのです。 あなたはアウブなのですから。 」 社交音痴と言われ続けて自信がなく腰が引けている私を、ズバッと一刀両断して、義母様はおっとりと微笑んだ。 「うぐぅ……仰る通りです……」 なんとか笑顔を作って了承すると、お母様が最後にして最大の爆弾を落とした。 「それにわたくし、ローゼマインはなるべく早く男女の機微を理解しなければいけないと思いますわ。 フェルディナンド様はエーヴィリーベもかくやといった態度であなたに接し、頻繁に二人で隠し部屋に籠るそうではないですか。 あなたが無垢で何も理解していないのをいいことにフェルディナンド様が行き過ぎることがないとは言い切れませんから……」 「うえぇっ!?な、なにを……フェルディナンド様はそのようなことはしません!!」 「コルネリウスが泣きついてきたのです。 妹の貞操と名誉の危機だ、フェルディナンド様を止めてくれ、と。 あなたに話を聞いて、もし本当にそのような危険があるのならアウブ・エーレンフェストかリヒャルダへ進言して止めていただく必要があるのではないかと思ったのですが。 気まずそうに目を逸らされた。 ふんぬぅ!許しませんからね! お母様は仕方がないわね、というように眉を下げて微笑んだ。 「妹を心配しているのです、コルネリウスの気持ちも理解してあげてちょうだい。 ……もちろん、わたくしもあなたのことが心配ですよ。 」 「お母様、フェルディナンド様はそうする必要がある時に、必要があることしかなさいません。 隠し部屋に二人で入るのも、たとえ名捧げをした側近にすら見せるわけにはいかない調合をする必要があるのです。 それに、皆様誤解されているようですが、わたくし別に無垢でも無知でもありません。 何も知らずに進みすぎることなどありませんから、その心配は杞憂ですわ。 」 「「え!?」」 「え?」 義母様とお母様が声を揃えて目を瞬かせた。 そんなに驚くことだろうか。 二人の反応にわたしも首を傾げる。 「まあ……お二人ともわたくしのことを本当に幼子のように何も知らないとお考えでしたの? わたくしもうすぐ14歳になりますのよ?」 にっこりと微笑むと、二人は微妙な表情で顔を見合わせた。 「どう知識が偏っているのか……予測不能ですわね……」 「男女の機微は期待されていないというのは……知識があるのにあの言動……これは早急に教育しなくてはフェルディナンド様がお気の毒ですわ……」 え?どういう意味?なんで二人だけで分かり合っちゃってるの? こういうところだってば~!わたしだけ分からないんだから、今!ナウ!教育してよ! こうして「ローゼマインに男女の機微を理解させ隊」の活動が開始されたのであった。 [newpage] 湯あみを終えて就寝前の時間、隠し部屋に入りさきほどフロレンツィアから受け取った二冊の手書きの冊子をパラパラと流し読みして概要を把握する。 二日後にお母様と二人だけでお話をする時間がとってあり、それまでにざっと目を通して、疑問点や補足を話し合うことになっている。 じっくり読み込んでさらに突っ込んだ話をするのは、わたしたちや側近達の本格的な移動のためにエーレンフェストに戻った時だ。 義母様は、「ローゼマインの教育についてジルヴェスター様にもご相談したら、なにやらあなたは特殊な体質をしているから、エルヴィーラを教育係にして二人だけで話せるようにしてやれと言われましたの。 この本はわたくしとエルヴィーラで相談して二人で書いたものですわ。 これを元に、エルヴィーラから解説してちょうだい。 」と言っていた。 ああ、わたしが元身食いの平民だったことを知らない人では、私の魔力がすでにフェルディナンドとほぼ同一であることを本当の意味で理解できない。 魔力の色だの、染める染めないが閨表現に直結するのに、そこが話せない人では私の教師はできないのか。 後で余裕ができたらアレキサンドリアの年嵩の側仕えか誰かに教えてもらえばいいじゃん、と軽く考えてたけど、エーレンフェスト側で領主会議の期間にお膳立てしてくれて本当に助かったかも。 「フェルディナンド様に絶対に見つからないように、必ず隠し部屋でお読みなさい。 」 渡された二冊の冊子のうち、やたらと分厚い方は章ごとに筆跡が違うので、どうやら城の文官達も動員したようだ。 これは助かる。 すごく助かる。 こういう常識を知らないせいでよくわからないうちに大事になっちゃってたこととか、あると思うんだよね。 分厚いからちゃんと読むのは明日にして、もう一冊の薄い冊子を手に取る。 「こっちは・・・これはお母様の字かな。 つまり恋愛限定の神様表現辞書か。 おお、これをマスターしたらお茶会で本好きの女の子たちと恋物語の感想を語り合うっていう夢が叶っちゃうんじゃない!? うふふん……」 エーレンフェストもアーレンスバッハの侵攻の事後処理で大変な中、領主会議までの短い期間で忙しい二人が私のためにこんな本を作ってくれたのだ。 二人の気持ちが嬉しくて有難い。 ふんふん。 恋物語の抜粋らしい神様表現について直接的な言葉遣いでの訳と解説もついてる。 「ブルーアンファが舞い踊るのは、芽吹きの象徴、恋心の始まり、か。 あ~なるほど、自覚していない恋心の芽吹きもこれに含まれるわけか。 ふむふむ。 」 これを息をするように理解できるようになれば男女の機微については最低限クリアらしい。 わたしの内面の情操については、これを踏まえた上でフェルディナンドと適切な距離を保ちつつ、星結びまでの二年間に自然に成長することを期待、と。 フェルディナンド様に丸投げって言わないかな、それ? とりあえずこれを全部まる暗記すれば社交で致命的な失敗はしないだろう。 ありがた…… 「ぶっふぉお!?」 終盤は恋物語よりもっと深い表現のものになっていき、冬の到来の次のページをめくって、目に飛び込んできた単語に我が目を疑った。 「あ、ああっ!?そういうこと!?男女の例えはエーヴィリーベとゲドゥルリーヒが基本で、それを踏まえた上で……」 エーヴィリーベの剣はつまり、男性器の比喩表現……で、ゲドゥルリーヒの杯は女性器、、、 「う、うわああああああ!」 神具が恥ずかしくてまともに見られなくなっちゃったらどうすんの!? 邪な連想に邪魔されてシュタープで神具が作れなくなったら困ると思う! これ書いたのどっち?フロレンツィア様?それともお母様? うわうわうわ、明後日顔を合わせるの気まずすぎなんだけど! 既婚女性強すぎだよ! 「こんなんいつ使うわけ……わたくしのいやらしく蜜で溢れたゲドゥルリーヒの杯を、フェルディナンド様のその猛々しいエーヴィリーベの剣で貫いてくださいませ、とか言うの? 21世紀日本の官能小説も真っ青……ひっ………… アカン想像したらギャグでしかな……ふっ…… ぶふっ…………くくっ……くるし………………っひひ……………………」 「…………あー笑った」 軽く呼吸困難になりかけた息をはあはあと整えながら落ち着こうとするけど、まだ油断したら笑いの発作が起きてしまいそう。 箸が転がっても可笑しがる思春期特有の、あとで思い出しても何がおもしろかったのか説明できないやつだ。 そういえば、いままで精神は22歳の麗乃だと思ってきたけど、ただ成人した記憶があるだけで、精神年齢はマインとして年相応に戻っていた可能性もあるよね。 家族と離れてすごく不安定になったり、泣いたり笑ったり喜んだり……ユルゲンシュミットで育ってきたわたしは、大人になった麗乃よりも喜怒哀楽が激しくて子供っぽかったかもしれない。 ということは、ナイフみたいに尖ったり、正体不明の不安感に襲われたりという、あまりまた経験したいとは思えない思春期をもう一度経験することになるのだろうか。 それはすごく疲れそうだな。 しばらく床をのたうち回って笑ったおかげで、普段使わない腹筋が爆発しそうに痛い。 明日は筋肉痛で起き上がれない気がする。 普段取り澄ましてる貴族の紳士淑女も、閨ではこんな官能小説ばりのやりとりをしているのかな? ……ないないない。 こんなん旦那様に向けて言うくらいなら、恥ずかしさで舌嚙み切って死ねる。 いやでも待てよ。 魔王だからなあ。 「どうして欲しいのだ?はっきり申してみよ。 」とか言って虐めてきそう。 「うわぁ……」 楽しそうにドS顔で恥ずかしいセリフを強要するフェルディナンドを想像してしまってげんなりする。 とりあえずそんな心配をするのはまだ早すぎるから、二年後にもう一度心配しよう。 ……っていうか、フェルディナンド様ってそもそも性欲とかあるのかな? 人間不信の上に女性不信をこじらせまくって、神殿でも執務室の空気が浮つくからと言って絶対に灰色巫女を側仕えにしなかった人である。 女性に囲まれているだけで勝手にストレスを溜めて勝手にダメージを受けていたし。 わたしがフェルディナンドの懐に入れたのは女を感じさせないほど幼かったからというのもあるだろう。 「あれっ、てことは、もしかしてフェルディナンド様って童て……」 ……これ以上考えてはいけない、と脳が危険信号を発した気がして瞬時に思考の軌道を変える。 ええっと、これらの閨関連の表現は、外で不用意にこれらの発言をしないこと、そして、フェルディナンドを無自覚に誘ったり煽ったりすることがないように、との親心らしい。 「あなたの色に染めてください」の意味をヒルシュールやフェルディナンドに尋ねまわったことがバレたらお説教どころじゃ済まない気がする。 「ていうか、フェルディナンド様に性欲がなかったら、二年後に星結びをしてもセックスレス夫婦になる可能性もある?」 漠然と、結婚したら当然するものだと思っていたけど、その前提が覆るなら、そもそも閨の作法なんか教わる必要がないのでは。 わたしに男女の機微は求めないとか言ってたし……もしかしてそういうことするつもりない?清い交際のまま清らかに家族としてだけ生きて共白髪とか願ってたりする? いやいやでも、現状アレキサンドリアの領主一族は私とレティーツィアの2人だけ、二年後に星結びをしてフェルディナンドを入れても3人だけだ。 レティーツィアが他領にお嫁に行く可能性もないわけではない。 2年後にはある程度内政も落ち着くだろうし、領主一族の増員は最優先事項ではないだろうか。 領主の義務として最低でも2~3人は生まないと将来のアレキサンドリアの礎が魔力不足でやばい気がする。 養子を取りまくるにしても政治的な面倒がついて回るだろうしなあ。 うーん。 この問題はフェルディナンドと話し合ってお互いの希望とアレキサンドリアの将来も踏まえて結論を出さなくては。 お互いの希望ということはわたしの希望も伝えなければならないということだ。 今までちゃんと考えてこなかった問題に直面して思考がどうも上滑りする。 わたしはフェルディナンドとそういうことをしたいのだろうか? 領主だし政略結婚だから当然するのが義務だと思い込んでいた。 じゃあ、義務じゃなかったら? フェルディナンドがわたしとセックスなんてしたく無いと言ったら……? 就寝時間を過ぎてリーゼレータが隠し部屋の外から声をかけてきても、寝台に入っても考え続けたけれど、わたしがどうしたいのか、いくら考えても結論は出なかった。 [newpage] [chapter:あとがき-ごあいさつ] 恋心が理解できないので、自分の閨事についても領地経営の観点から冷静に考えてしまうローゼマインでした。 フェルマイタグつけたのにマインの妄想の中にしか出てこなかったですね。 フロレンツィアに関しては、基本的に領主一族みんな好きなんですが、彼女だけずっと他人だったのが気になっていたのですよね。 ローゼマインが社交下手なのも男女の機微がわからないのも、フロレンツィアの責任のはずなのになあ…と考えてこういうことになりました。 淑女教育を本で行う、という設定は以前拝見したほかの方の二次創作に出てきていたかと思うのですが、他に例えば既婚の女性の側近をアレキサンドリアに派遣するとか、ソランジュ先生に教わるとか、いろいろな可能性を考えた結果、 身食いのことを知っている貴族女性がエルヴィーラしかいないこと、印刷業を担う重要なポジションにいるためアレキサンドリアに派遣されてくる展開は難しいこと、このためだけに無理矢理オリキャラを作りたくなかったことなどから、本を与えて自習させるしかないという結論に達しました。 そのほかにも、もしかしたら他の方が考えて発表されたネタと被る要素などがありましても、意図したものではございません。 そもそもが原作の設定と人物をお借りしている二次創作ですのでその辺はご容赦いただけますようお願いします。 今後は、フェルディナンドとの適切な距離について悩んだり、もう考えてもわからないから自分のことは棚に上げてフェルディナンドに直撃したり、自分の恋心については脇に置いたまま、する気があるなら星結び後いきなりアレはソレだから、前段階まで今のうちに慣れてきたいとか言い出して行為だけ先に進んでしまったらいいと思っています。 そしてフェルディナンドが理性を総動員して寸止めさせられて辛い、でも幸せ、みたいに苦しめばよいと思います。

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第四部Ⅸの短編リクエスト受付|香月 美夜の活動報告

ローゼマイン フェルディナンド 結婚

表題 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~• 著者 香月美夜(かづきみや)• ジャンル ファンタジー• 出版社 TOブックス• 初出 小説投稿サイト「小説家になろう」• 連載期間 2013年9月~2017年3月(全5部677話完結)• アニメ 第1部 2019年10月~12月(全14話) 第2部 2020年4月~6月(全12話)• コミック 第1部・第2部 鈴華 著 第3部 波野涼 著 あらすじ この作品は,「小説家になろう」で連載された異世界転生もので,書籍化され,アニメ化され,コミカライズされ,ラノベガイドブック『このライトノベルがすごい! 』の単行本・ノベルズ部門で2018年と2019年に1位を獲得している。 故に「ラノベ」と呼ばれる作品群に含まれると思われるが,壮大な世界観や練り込まれた舞台設定はとても「ライト」と言えるものではなく,ハリー・ポッターシリーズにも匹敵するほどのしっかりとしたファンタジー小説であると思う。 長い長い物語だが,表題が全てを語っている。 本狂いと言っても過言ではないほど本が大好きな女性が,司書になる夢を叶える直前に死亡。 兵士の娘マインという5歳の病弱な少女として異世界に転生する。 しかし,マインが転生した家には本の1冊どころか,文字が見当たらない。 識字率がとても低く,紙も印刷技術も存在しない世界だったのだ! その世界の本は羊皮紙に手書きで作る大変高価なもので,下町の労働者階級であるマインの家族には無縁なもの。 両親は本と言われても「意味わからない」って感じだし,まともに字を読むこともできない。 生活レベルは11世紀とか12世紀くらいだろうか。 トイレもシャンプーもないクオリティの低い生活であっても,本さえあれば耐えられる! そう思ったのに,本はないし,両親はひどく教養がない。 マインは絶望し,怒り,不屈の精神で本に囲まれて暮らす生活を目指し始める。 本がないなら作ればいいじゃない。 司書になってやる! 現代日本で読書をしまくって得た知識を生かし,マインは文字通り下剋上を繰り広げる。 紙の製法を確立し,職人を囲って活版印刷機を作り,本を出版し,人々の教養を高め,それらの過程で自らも平民から貴族へ,領主の養女へ,やがては女神の化身と言われるまでに地位を上げる。 そして最後には「本に囲まれた生活」を実現させるのだ。 第一部から第五部までの構成は下記の通り。 第一部は単行本3巻に渡るが,プロローグみたいなものだ。 物語が進むにつれ,世界観が明らかになり,領地から国へと舞台は広がっていく。 第二部が全4巻,第三部が全5巻。 第四部が全9巻。 電子書籍(Kindle)では各々合本版が出ているので,そちらを読むと便利だ。 第五部は書籍化途中だが,続きが気になったらWebで読める。 本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第一部「兵士の娘」(全3巻) 第二部「神殿の巫女見習い」(全4巻) 第三部「領主の養女」(全5巻) 第四部「貴族院の自称図書委員」(全9巻) 第五部「女神の化身」(?) 何しろ冊数が多いので,電子書籍の合本版がお勧め。 転生したマインは近所の子供達と一緒に森へ出かけるようになる。 森で生活に必要な食料や薪などを採取するのは,子供達の重要な仕事なのだった。 そこでマインは近所の面倒見が良く優しい少年ルッツと親しくなっていく。 また父の仕事場を訪れた時,父の部下で文字が読めて計算が出来るオットーという男性と知り合い,文字を習う機会を得る。 商人になる夢を抱いていたルッツに,以前は商人だったオットーを紹介して欲しいと頼まれたマインは気軽に紹介するが,そこにオットーの義理の兄,ギルベルタ商会の主人ベンノが現れる。 そしてマインはベンノという後ろ盾を得て,紙作りを始める。 紙作りや髪飾りなどの商品を売るようになり,マインとルッツは商業ギルドへ登録。 ギルド長の孫娘フリーダと知り合って,マインの熱が「身食い」という魔力によるものだということがわかる。 身食いは貴族が持つ高価な魔術具を使わないと,遠くない未来に命を落とすことになるということだった。 しかし,マインは貴族へ自分を売り込むことより,残された時間を家族と過ごすことを選ぶ。 そんな中で,マインとルッツは揃って洗礼式を迎え,儀式のために神殿を訪れる。 どうせ死ぬのだと思っていたマインだったが,神殿で巫女見習いになることが決まり,生きながらえることが可能となる。 巫女見習いとして神殿に入ったマインの1年間。 神殿に入ったマインが考えることは図書館で読書をすることばかり。 静かな読書時間を確保したいがために何故か孤児院長をすることになる。 だが,孤児院をマイン工房にすることで,紙の製造を進めていく。 また前世で食べていた美味しい食事をもう一度実現したいという想いから,ルッツやベンノを巻き込んでイタリアンレストランの準備を始め,活版印刷のために職人を探したりと奔走しまくる。 自分のやりたいことしか見えていなくて,この世界では誰も知らない「グーテンベルク」の名前を出し勝手に称号にしてはしゃぐマインがウザくてたまらないが物語は面白い。 領主のジルヴェスターが登場し,物語は大きく動く。 マインはローゼマインとなり,カルステッドを父としエルヴィーラを母とする上級貴族の娘として洗礼を受ける。 その後,領主ジルヴェスターの養女となり貴族院に入るまで,神殿と城との往復生活が描かれる。 貴族関係の登場人物がいきなり増える。 母となったエルヴィーラに兄となったエックハルト,ランプレヒト,コルネリウス,養父母のアウブ・エーレンフェスト(ジルヴェスター)と第一夫人フロレンツィア,義理の兄ヴィルフリート,義理の妹シャルロット,新たな護衛騎士のブリギッテとアンゲリカ,新たな側仕えリヒャルダとオティーリエ。 ハッセの町に新しい孤児院を作ったり,ブリギッテの故郷であるイルクナーで紙作りなど事業を広げていく傍ら,貴族の派閥争いの陰謀に巻き込まれていく。 2年間のユレーヴェの眠りから覚めたローゼマインは10歳で貴族院に入る年齢。 眠っている間の遅れを取りもどすためフェルディナンドから詰め込み教育を受け貴族院へ向かう。 教師や新しい側近,他領地の領主候補生や王族など新たな登場人物で物語に深みが増す。 2年間眠っていたローゼマインは,ただでさえ小さかったのに2年間を失い規格外の小ささ。 一人だけ小さくて目立つのに,貴族院でも図書館まっしぐらの考え無しの行動で悪目立ち。 麗乃時代(前世)はこうだったからと単純に気安く言動する稚拙さが不思議すぎるが,ヴィルフリートとコルネリウス,そしてリヒャルダのローゼマイン管理の優秀さは一つの見どころ。 貴族院に入って,貴族の印であるシュラーブを得て,通信手段のオルドナンツを扱えるようになる。 またディッターという貴族の騎士達が好む独特のスポーツが登場。 貴族院で注目を浴びるローゼマインをエーレンフェストに留めておく策として,ローゼマインとヴィルフリートは婚約することになる。 隣の大領地アーレンスバッハや領地内の旧ヴェローニカ派貴族との軋轢の中で,ランプレヒト兄様に花嫁がやってくる。 貴族院での2年目が始まる。 ハンネローレやヒルデブラント王子と共に図書委員をすると張り切るローゼマイン。 魔石の作り方の実習や,名を捧げたいと悩むローデリヒ,エーレンフェストの森へ現れた質の悪い魔物ターニスベファレンとの戦いなどなど。 ターニスベファレン退治の件での事情聴取や魔石のネックレスなど,とにかくフェルディナンドの優秀さが際立つ。 ローゼマインの保護者たちは報告を受けながら胃に穴があきそうだ。 ターニスベファレンの件で聖典に注目が集まり,物語が更に動き始める。 関連して,中央の聖典至上主義者と王族の問題など,視点がエーレンフェストから国全体へと広がっていく。 ローゼマインの貴族院での2年目が終わり,頼もしくローゼマインを守っていたコルネリウス兄様とハルトムートが卒業。 王命が下ったフェルディナンドは,エーレンフェストを去って行く。 ネタバレ上等!言いたい放題 以下,ネタバレ無視で書き殴った好き勝手な感想。 本編を最後まで読み終えた方か,ネタバレを気にしない方のみご覧下さい。 主人公たるマインが兎にも角にもマジウザい! 「小説家になろう」冒頭の作者コメントで,作者自らが注意を促している。 曰く, 最初の主人公の性格が最悪です。 ある程度成長するまで、気分悪くなる恐れがあります。 正直言って本当に主人公の性格は最悪だ。 私に言わせれば,ある程度成長しても別に性格は改善されない。 マインは自分のことを「自重を忘れた女」と称しており,本人にもそういう自覚はあるようで,実に快いまでに自己中の極みを貫く。 私は最後まで読み進んでもその性格を好きになれなかったし共感もできなかった。 最後までマインのことは嫌いだった。 そもそも,元の世界では成人し大学を卒業し司書として就職まで決まっていた大人の記憶を持っているマインなのに,何故ここまでバカなのだろう?というのが最初の疑問。 司書になれるほどしっかり勉強した人が,家の中の様子を見て,本が存在しないか,こんな貧乏な家には無縁な高嶺の花であることくらい容易に想像できないのだろうか。 前世の記憶を持っていても,5歳の少女の肉体に住んでいるため,身体が持つ幼い思考に引きずられているのだろうかと考察することもできる。 だが,そうであるなら,本を作るために頭脳から引き出される知識は生半可ではない。 いや,生半可どころの騒ぎではなく,専門書がそのまま頭に詰まっていても無理なレベルだ。 あまりにもアンバランスだと思う。 物語を楽しむために,これらの矛盾は「俺TUEEEな転生チート」だと目をつぶることにしたのだが,引っかかりは消えなかった。 前世への異常な執着がマインのウザさに拍車を掛ける。 活版印刷技術の発明者とされるヨハネス・グーテンベルクは,この世界では確かに偉人だ。 だが,この世界でだって11世紀や12世紀の人々に「グーテンベルクだよ!」と言ったところで理解されない。 それなのに,マインは異世界の印刷技術以前の人々に向かって「グーテンベルク!」なのだ。 意味不明に決まっていることが分からないのだろうか。 大卒の図書館司書に分からない筈はない。 相手が分からないに決まっていることを知りながら,わざと意味不明な単語を使っているのか? 興奮のあまりそういった分別を失うほど人間性が未発達なのか? グーテンベルクに限らず,このように前世の単語を当然のように持ち出して会話相手に突きつける事例はいくらでもある。 極めつけが最後に領地の名前を決めるときだっただろうか。 アレキサンドリアかベネツィア? 別の世界の実在の街の名を領民全体に押しつけるとは! いやはや私だったら心底止めて欲しい。 異常と言えば,マインの家族への執着も迷惑なレベルだ。 最初は本のために幾らでも利用し犠牲にする感じだった家族だが,前世の母親への申し訳ない気持ちを思いだした途端に最重要な存在となる。 生まれた途端に引き離され会うこともなかった弟までを溺愛する。 家族は領地の外へまでもマインについて行くが,詳しく書かれている街のギルドや組合の仕組みを考えると無理無謀な行為にしか見えない。 マインに触発されて子供の頃から頑張った姉のトゥーリだけなら,マインの行く所へついて行って仕事をしようとするのもまだわかるのだが。 義理の妹シャルロッテに対してお姉様ぶりたい要求の激しさにも辟易だ。 バカなの? 魔力や座学など能力だけ高く生意気で自己中な養女のマインが,そこまで尊敬と憧憬の念を持って領主一家の子供達に受け入れられ大切にされることが,とても不自然に思えた。 ヴィルフリートもシャルロッテもメルヒオールも,嫉妬心など邪な心は一切無い澄み切った心を持つ人格者なのだろう。 そうとしか思えない。 ほんと,この自己中で暴走だらけで自重を捨て去ったトラブルメーカーのマインが,義理の家族や側近達に非常に大切にされ愛され尊敬されていることが,最後まで不思議かつ納得できなかった。 ただ,マインの活動は領地や国家に大きな利益ももたらすので,利益を考えれば合点がいく気もする。 マインの魔力が王族などものともしないほど強大で,しかも全属性であるとかチートすぎるわけだが,一応マインが全属性であることや魔力が強くなったことは,この世界の仕組みに基づいて理屈で説明されている。 マインの自己中で破綻した性格は,大変不快なものではあるが,このように某かの大きな事をやり遂げ世界を変えてしまうような人には,こういった周囲の人のことなどお構いなしに突っ走るような異常さが必要なのだろう。 周囲の人々に気を遣い,やりたいことを我慢するような心優しい人がマインのような業績を残すのは,難しいかもしれない。 ローゼマイン(マイン)にはイライラさせられっぱなしだったが,偏った分野では非常に賢いし機知に富んでいて面白い。 下町の面々は隠し部屋と寝台。 お父様と養父様は、他者の進入を防ぎ守り外に出さないための扉。 エルヴィーラとリヒャルダは暖炉。 明るく暖かく必要だけど近づきすぎると火傷する。 護衛騎士たちは大切な物を守ってくれる本棚。 ダームウェルは鍵のかかる書箱。 神殿の側仕えは執務机。 公私の仕事をし本を読む。 ヴィルフリートは背もたれがない椅子。 ひと息つけるけど寄りかかれない。 前ライゼガング伯爵は暖炉の上の棚の細かい細工の置物。 フェルディナンドは長椅子。 本を読んで寛げる。 でも完全に身体を預けて眠ってしまうとあちこち痛くなったり風邪を引いたりする。 もし彼がいなければ,マインは魔力の威圧で神殿長を殺し,その罪で処刑され,物語は第一部でさっさと終了してしまったことだろう。 そもそもフェルディナンドは,マインが神殿長を威圧したとき,何故止めたのだ? 放置してマインに神殿長を殺させれば,神殿長に苦しめられていたフェルディナンドとしては万々歳ではないか? これだけの魔力を持つマインは,今現在エーレンフェストに不足している魔力を得るための貴重な存在なので確保しておくべきと,瞬時に判断したのだろうか。 しかも,フェルディナンド自身も威圧に巻き込まれて辛い状況の中だったにもかかわらず,少ない言葉でキチンとマインを正気に戻した。 優秀すぎる。 マインが巫女見習いとして神殿に入った時,フェルディナンドは確か21歳。 幾ら貴族院で全て最優秀の成績を収めた秀才で,領主の弟として貴族社会及びユルゲンシュミット(国)について詳しい知識を持っていたとしても,たかが21歳だ。 大学3年生程度の年齢だ。 それなのに神殿業務をほとんど請け負い,領主の仕事を手伝い,騎士団の仕事を手伝い,その上マインの面倒まで細やかに見る。 いや無理でしょう。 できすぎ。 そう,「マインの面倒を見る」というのは並大抵の子供の監視ではないのだ。 マインは貴族や神殿の常識を持たないことは勿論,前世という異世界の常識で動き,次々と想像を絶した問題を起こし,敵を作りまくる。 しかもマインはこれまた想像を絶した虚弱体質で,非常に気をつけていなければ簡単に熱を出して倒れる。 そんな非常識の化身のような彼女の尻拭いをし,教育を施すのだ。 マインを教育し導くためにはマインを理解しなければならないわけだが,異世界の常識で動く彼女を理解するにはもの凄く柔軟な発想力が必要となる。 だが,フェルディナンドは優秀な頭脳と論理的思考によって,この上なく上手にマインをコントロールするのだ。 フェルディナンド自身の環境により必要だったにしても,製薬に精通し,虚弱なマインが活動できるように専属医師&専属薬剤師として健康管理まで完璧にこなす。 チート過ぎる。 結局のところ,優秀で努力家でやることなすこと規格外で刺激的なマインをフェルディナンドはかなり初期から気に入っており,ローゼマイン(マイン)がしでかすあれこれに翻弄されつつ面白がってもいたのだろう。 物語後半になって徐々に,フェルディナンドがマインと双璧を成す規格外であることが分かっていくが,ユルゲンシュミットの建国神話に登場し歴代ツェントにグルトリスハイトを授けてきたエアヴェルミーンに対し,フェルディナンドは非常に無礼な態度で接し嫌われていることに驚いた。 マインに対してあんなにも貴族らしく上品に振る舞うよう教えていたのに,実のところ,彼自身,見事に表面上取り繕っていただけだったのだ。 本質は回りくどい貴族の習慣とは正反対の合理主義者で,目標を達成するために必要とあらば最短で動く。 フェルディナンドは本質的にマインとそっくりな性格なのだった。 兎にも角にも,フェルディナンドが存在し,フェルディナンドがいるエーレンフェストにマインが生まれ二人が出会う。 この二つがなければユルゲンシュミットは崩壊したであろうし,ユルゲンシュミットで印刷技術が発展する機会は何世紀も先になったことだろう。 アダルジーザの実であるフェルディナンドがエーレンフェストの領主一族として生きながらえていたことは奇跡であるし,異世界から転生した異常な性癖(本好き)を持つローゼマインの存在も奇跡。 二つの奇跡が絡み合って事が進んでいくのだから,マインの転生はそもそも英知の女神メスティオノーラが仕組んだこととしか思えない。 ローゼマインの側近たちが面白い マインがローゼマインとなり貴族社会に取り込まれた時に,カルステッド一家や領主一家など登場人物がどっさり増えるが,その後ローゼマインが貴族院に進学すると,更に側近たちがどっと加わり,登場人物を覚えるのが大変になる。 しかし,この側近達が各々個性豊かで面白い。 是非とも全員の性格や役割を把握しておくのがお勧めだ。 人気投票で常に上位に食い込むのはダームエルだったようで,確かにマインの最初の側近であるダームエルは,最後まで優秀な側近として活躍する。 しかし,他の側近達もなかなか楽しい。 ローゼマインの義兄で,ローゼマインが領主の養女となった時からずっと護衛をするコルネリウス。 本当の兄のようにローゼマインと仲良しだし,過保護だ。 しかしそもそもの血筋が良いせいか,優秀でどんどん頼りになる護衛騎士に成長していく。 コルネリウス兄様がいてくれると,私はいつも安心して読み進むことができた。 アンゲリカの卒業後,コルネリウスの存在がどれほど心強かったか。 コルネリウスの卒業後はどうしようかと思ったほどだ。 その後はコルネリウスの婚約者レオノーレや旧ヴェローニカ派のマティアスなどがしっかり護衛してくれ安心だったが。 コルネリウスと同じくローゼマインが領主の養女となった時からの護衛騎士,アンゲリカ。 彼女はどう見ても良家のお嬢様にしか見えない美少女なのに頭を使うことが大嫌いで,騎士としては実に優秀。 優秀な部分と残念な部分の落差が面白く,アンゲリカが出てくる度に楽しかった。 脳筋の愛されキャラだ。 ローゼマインの義兄エックハルトとはお互い明後日の方向でお似合いで,アンゲリカとエックハルトの結婚生活というものがあるとしたら見てみたいものだと思う。 貴族院以降の側近で最重要人物はハルトムートだろう。 とにかくとても優秀でキモイ。 ローゼマインを心底崇拝し,ローゼマインの素晴らしさを布教するために全力でその優秀さを使うのだ。 頼もしいことこの上ないし,キモイことこの上ない。 この若さでこんなにも優秀なのだから,将来はフェルディナンドに名を捧げて仕えるユストクスに負けない文官になること請け合いだ。 同じく異常なまでにローゼマインに心酔しているクラリッサとの婚約は,ローゼマインとフェルディナンドと同じくらい運命的な組み合わせと言えよう。 クラリッサも実に危なっかしく優秀で頼もしかったものだ。 しかし基本的に自分勝手で非常識なローゼマインが,余りある欠点を全て受け入れた上で側近達に尊敬され大切にされることは,やはりとても解せない気がした。 側近はローゼマインの保護者たちによって厳しく選別され吟味されて選ばれているのだし,派閥争いなどを考えれば自分にとって都合が良い人物に肩入れして仕えることになるのはわかるが,能力は高いのに非常識な姫君など,裏では嫉みそねみ失笑の対象になりそうなものではないか? 彼女の身内のためなら何だってする性格は,優しさとはちょっと違う気がする。 ローゼマイン,あんなに性格が悪いのに尊敬されすぎだし愛されすぎだ。 マインの家族が不思議 マイン時代の下町の家族は,マインがどんな立場になろうとも見捨てることはなく見守り続ける。 マインと姉のトゥーリはめちゃくちゃ仲が良いし,父親は命を省みない子煩悩。 母親は父より落ち着いているが,マインのために行動する覚悟は父親に負けない。 だが,仲の良い家族,愛に溢れた家族などという言葉一つで説明できないほど,いつまで経っても彼らはマインとの関係を重要視し続ける。 彼ら自身の下町に根付いた生活があるはずなのに? 姉のトゥーリがマインやルッツに刺激を受けて上を目指して頑張るのは,まだわかる。 だが,マインが街を出て移動するなら自分もと,幾ら仲が良かったとしても姉がいつまでも思い続けるだろうか。 幾ら仲の良い姉妹であっても,成長し,成人し,幼い頃考えていたのとは異なる人生を歩んでいくのが普通だと思う。 姉には姉の人生があり,恋人が出来たり,他にやりたいことができたりするだろう。 が,トゥーリの眼中にはそういったことは一切なく,将来マインが街を出て領地を出て行くならば,自分もマインについて行ってマインの役に立つ仕事をしようと考え,実行し,成人してもそれを貫く。 最後には両親もトゥーリも,マインには思い入れがないはずの弟のカミルまで,領地をまたいでマインのいる街へ引っ越して行く。 トゥーリと母のエーファはローゼマイン専属職人という建前があるが,父親はその家族として仕事も辞めて引っ越すのだ。 街の職人達には各々ギルドがあって職人の世界にはしっかりしたルールがあるはずなのに,そういうのは良いのだろうか。 マインが貴族界へ引き取られ,元の家族とは一切関係ないと契約魔法を結んでから,トゥーリが成人するほどの長い年月が流れているのに。 ルッツやベンノなど商人達がローゼマインと共に移動して仕事をするのはわかるのだが,マインの家族に関しては何だかできすぎみたいな印象だった。 重ねて言おう,マインあんなに性格が悪いのに異常なまでに愛されすぎだ。 神話で彩られた世界観がよく作り込まれている 魔力が存在する世界が舞台となる物語は珍しくないが,ここまでしっかりと神話が作り込まれている作品は少ないのではないかと思う。 闇の神に光の女神,その子供達である五柱の神々,水の女神フリュートレーネ,火の神ライデンシャフト,風の女神シュツェーリア,土の女神ゲドゥルリーヒ,命の神エーヴィリーベ,そしてその神々の眷属。 神々の属性と貴族が持つ魔力は対になっており,自然現象までもが神々のご加護と魔力で説明される。 第一部では魔力は商人の契約魔法程度しか登場しないが,物語が進み世界観への理解が深まるにつれ,魔力と神々の関係が細やかに設定されていたことに気づき感動した。 神話と世界の一体感がすごくて,この世界が実在していないのが不思議になったほどだった。 政治の仕組みは雑すぎる ツェント(王)がいて国を治め,アウブ(領主)がいて領民を治め,ギーベがいて領地内の地域を管理する。 年に一度の領主会議で国の重要事項は決定される。 領主会議に出席するのは,王と領主と領主の第一夫人だ。 領地内は貴族の冬の社交で何となく決まる? 王の命令には逆らえず,ほぼ絶対王政。 領地内では領主に逆らえないが,大領地・中領地・小領地などの身分差で領主も他領地との関係は自由にならない。 議会のような制度はなさそうで,王命と領主会議だけで国が動いているようだ。 マインの父親は兵士だが,軍隊の指揮系統がどのようになっているのかは謎。 アウブの護衛は騎士団が行い,騎士団と軍?の関係もよくわからない。 そもそも「兵士」は何に属し誰の指揮で動いているのか? 法律の仕組みも分からない。 まぁこのような設定がよく分からなくても物語には関係ないし,面白かったので特に問題は感じなかったのだが。 玉川上水の羽村取水口のすぐ下流側の多摩川に架かる、 歩行者と自転車専用の橋が、羽村堰下橋だ。 この記事で歩いた部分を青線で示す。 地図はクリックすると拡大して見られる。 橋の上からは、羽村堰と羽村取水口がよく見える。 羽村堰下橋の親柱(写真はクリックで拡大) 羽村堰下橋 多摩川の上流方面には羽村堰の複雑な風景が広がる。 多摩川 上流側• 羽村堰下橋から見た羽村取水口あたり 下流方面には羽村大橋が見える。 羽村大橋は、羽村市とあきるの市を結んでいる。 多摩川 下流側• 羽村堰下橋から見た羽村大橋 多摩川を渡る長い橋だが、 風景を楽しんでいるうちに渡り終わってしまった。 羽村取水堰あたりの川原には、水辺で寛ぐ人々の姿が見られた。 羽村堰下橋から見た多摩川 橋を渡ったところには、 羽村市郷土博物館と、 武蔵野の路「滝山・草花丘陵コース」の案内板があった。 羽村堰下橋の南西側の道標• 武蔵野の路「滝山・草花丘陵コース」の案内板 このあと、多摩川を遡って河岸を歩き、 羽村市郷土博物館へ向かった。 川縁の道は緑豊かな気持ちの良い散歩道で、 歩きながら振り返ると羽村堰下橋の全景がよく見えた。 羽村堰下橋 羽村市郷土博物館へ続く多摩川縁の道.

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